02.19
Sun
2016-17s 2017. 02.19.Sun.22:44
「最低の平均値を上げる」

まさにこういうことだったのですね。
おそらく体調万全ではなかったであろう状況下での今回の羽生さんの対応力は見事だったと思います。

今季のプログラムはショートもフリーも、4Lo以上に4Sコンボの成否がキーポイントになっているよう。

ショートはサルコウが2Sに抜けた後よく3Tつけられたなと思いましたが、それ以降、ほんのわずかコンマ何秒かではありますが、全体の動作のタイミングがズレて、音やリズムに気持ちが完全には乗り切れなかったのではと感じました。スピンやステップで取りこぼしがあったのもその影響?とはいえ、4Loが最も美しく決まったのは良かったですし、3Aは相変わらず見事で、なんだかんだ言っても、GOEの全合計は10.56、各要素できっちり加点は取っています。また、演技構成点もトップで、曲の解釈も9.54と高レベル。試合が違えば単純比較はできないものの、総合点の97.04も、ソチ五輪のパリ散がクワド一本で101.45だったことを考えればおおよそ妥当なところ。

一日あけてのフリーでは、スピンやステップは取りこぼしなく修正されていましたし、ジャンプも抜けたサルコウ以外はすべて加点つき。そして、なんと言っても後半の怒涛のリカバリー。4S+3T→2S+1Loになった時点で、何らかの対応はしてくるだろうとは思いましたが、まさかまさかの後半2回目4T。瞬間、最後の3Lzリストラ→3A来る?!と思ったら、心拍数一気に上がって倒れそうになりました(^ ^;)。こんなリカバリーはやはり3Aが安定しているからこそできることですね。強みがこういう部分でも活かされる。こんな鬼のような構成変更をしながら強さと激しさを内包しつつ、流れるような美しさは失わない、まさに自然が持つ過酷さと包容力すべてを表すプログラム。完成がますます楽しみになりました。

結果はかなり悔しかったでしょうけれど、ここまで高次元の戦いができて「一番楽しかった銀メダル」というのもまた本音であろうと思います。観ている我々もそうでしたから。フィギュアスケート、ひいては人類の進化をリアルタイムで感じられる、こんなすばらしい世界を作り出してくれたこと、そして同じ時代を生きていることに感謝します。本当にありがとう。

まずは体調をしっかり整えて、今季のワールド、そして来年ふたたびこの平昌の地に立つときは最高の笑顔が見られると信じています。

20170219-3S.jpg

※補足※
今回のフリーに関する一部報道で、「3Aコンボを4Tコンボに変えて得点を稼いだ」というような論調を見かけますが、少しニュアンスとして不十分な気がしましたので補足。変更箇所でもともと予定していたのは、3A+1Lo+3Sで基礎点は14.74(基礎点表記はすべて後半1.1倍)。それに対して、実施した4T+2Tは12.76。つまり、ここを4Tコンボに変えただけではむしろ得点は下がってしまいます。ここで3Aを残し、最後の3Lzを3Aに変更したことで、直前の3A+3Tも含めてトータルとして出来得る限りの得点につながった。各ケースの該当部分のジャンプの基礎点(4Lo / 4S / 3F // 2S+1Lo / 4T / 3A+3T 以降、後半1.1倍)を比べると以下の通り(4T+3Tのケースも追加)。

(1) 3A+1Lo+3S / 3Lz → 14.74+6.60=21.34 ・・・ 予定構成
(2) 4T+2T / 3Lz → 12.76+6.60=19.36 ・・・ 3Aコンボ→4Tコンボに変更のみ
(3) 4T+2T / 3A → 12.76+9.35=22.11 ・・・ 今回の実施構成
(4) 4T+3T / 3Lz → 16.06+6.60=22.66 ・・・ この場合、最後が3Aだとキックアウト
【参考】FS-Judges Scores価値尺度表

体力の問題を無視してあらためて計算してみると、(4)もありでしょうか。また、(1)以外の場合、抜けた2S+1Loの後に3Sをつけるか、ここを単独2Sにしておいて、最後のジャンプに+1Lo+3Sをつければさらに上積みできました(と書きつつ、計算していてだいぶ混乱したので、勘違いありましたらご指摘ください ^ ^;)。とはいえ、これはあくまで机上の空論。後半クワド2回成功こそが次につながることだったでしょうし、演技しながら(3)をとっさに選択したのはとてつもない判断力だと思います。









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コメント
もうアジア大会も始まっていますが、放送全般について、本文中に書きそびれたことをここに追記しておきたいと思います。

高性能TESカウンターすばらしいです。成功した要素の点数がわかるのはもちろん、レビューが入ることも演技中に一目瞭然なので、最終的な総合点と演技から受ける印象との剥離がかなりの部分で緩和されていると思います。技のひとつひとつに技術的な評価がなされていることがリアルタイムでわかりますし。これぞスポーツ。今後もぜひ続けていただけたら嬉しい。

一方でカメラワークはいただけなかった。スピンやステップ中の上半身や足元だけのズームアップは今回の仕様なの?というほどしょっちゅうされていましたが、これはすぐさま止めて欲しい。ジャンプもぎりぎりまでズームしていてフレームアウトしそうになって跳びあがる直前に引きの映像に切り替えとかあまりにも悲しすぎる。身体全体が流れとして見えないと、滑りや動作の状況などがさっぱりわからないです。
今回の放送で使用されたのはどうも国際映像のようですが、カメラクルーの構成ってどう決められているんでしょうか。開催国中心?どう見ても問題があると思うので、五輪ではこのようなことのないように、早急にしかるべきところに指摘が入るといいのですけれど。
蒼森 | 2017.02.23 23:02 | 編集
蒼森さん、こんばんは。

えーと、激しく今更コメントに来てすみません(^_^;)
毎日、母のところに通って、情報を読んで、フリーの録画毎日観て、なんてしていると眠くなってしまって、こんなに日にちが経って、アジア大会始まっちゃいましたね。

どうも羽生くんが良い演技をすると、それだけで満足しちゃって。
蒼森さんの雑感は全面同意ですし、あらためて書くこともないのですが、とにかく今回のホプレガは、強く美しかった!!
シィリーンがホプレガは、羽生くんのスケート人生を表現しているとのインタビューがありましたが、彼のスケート人生はやはり癒し系というよりは、今回の4大陸のように、なにがあろうと前へ前へと進むことをやめない、強く美しいものですよね。なんだかとてもすっきりしました。
ニースのロミオを思い出した人も多かったようですが、羽生くんも久々に自分のスケートの核をなしてる熱い気持ちを思い出したんじゃないかな。もちろん、より洗練された技術と表現を伴って。

ネイサンの全米の演技を観た時のわくわく感は、きっと彼によって羽生くんの新しい扉が開くのだろう、ということを含んでいたわけですが、さっそくそれが観れてほんとに楽しかったです!
でも正直、羽生くんの演技構成点はちょっと低いと思うし、ネイサンのはジャンプの着氷の乱れの多く、流れが途切れたところが多かったわりに高すぎると思いました。もちろん、メンタルを含めとても強く素晴らしかったですが。そこがこの先ちょっと心配です。

今回の負けはとても清々しかったですが、世選ではもちろん勝ってくれると信じています。ホプレガの完成は、北欧のヘルシンキがふさわしいと、最初から思っていたので^^ 
今回はおそらく練習を追い込みすぎて腰痛が出ていたのだと思うし、氷も良くなかったようなので、世選は全てが良い状態で、SPもFPも羽生くんが思うような演技が出来るよう祈ってます。

まとまらない文章でごめんなさい。
チームブライアン2の感想楽しみにしています。内容が濃くて、読むだけでなかなか大変です(^_^;)


くり | 2017.02.24 23:53 | 編集
くりさん

コメントありがとうございます♪
1日の時間が足りないですね。お母様のこともありますし、無理なさらないように、ここはいつでも気が向いたときにいらしてください。

私も最近は結果以上に最終的に羽生くんが楽しかったならオールオッケーな感じで。ショートではベストコンディションのときに比べると少し動きが重い気がしたので心配しましたが、フリーのやり切った感でほっとしちゃいました。

確かにニースロミオのときの気持ちと共通するものがあったかもしれないですね。あのときは体力を限界まで出し切っての感動だったけれど、今回はミスの後で頭脳と精神をフル稼働させて技術的なポテンシャル(ここでいう技術とは表現する技術も含む)を出し切ったという形での違いはあれど。

昨季以来、300点越えという壁を打ち破った羽生くんと、ジャンプの常識を良い意味でことごとく壊してきた10代の選手たち。それぞれが切磋琢磨している世界を観せてもらえるのはほんとうに「ワクワクしますね!」(ただしステイヘルシー祈願)

演技構成点については難しいですね。技術点の一部であるGOEでさえ、各要素の前後を通して判断されていて、たとえばジャンプで着氷が少々乱れても、他でプラス要素があれば得点的には相殺されることもある。ましてや演技構成点についてはプログラム全体を通しての判断ということになるので、各コンポーネンツひとつひとつを見ても評価項目が多岐に渡っていて、具体的にどう判定されたのかというのはわかりにくいです。

どんなに訓練された審判であっても、これまで見たこともなかった高難度の時代に突入して、一時的に判断に幅やブレができてしまうことはあるかもしれませんが、ジャッジやテクニカルの講習、擦り合わせも定期的に行われているようですし、今季の状況を踏まえて五輪シーズンに反映されていくといいなと思います。

チームブライアン、おっしゃるとおり内容が濃くて感想文も長くなってしまいました(汗)。後日アップしますが、お時間のあるときにいつでもどうぞー。
蒼森 | 2017.02.25 14:14 | 編集
視線の先にあるものは・・・

あちこちで雑誌のレビューはされていますのでいまさらですが、ちょっとだけ感じたことを。

四大陸後の保存用として、今回もファン通信とマガジンを購入しました。
https://www.amazon.co.jp/dp/4862017924/
https://www.amazon.co.jp/dp/4583625022/

ファン通はいつも通り写真たっぷりだったし、マガジンは私たちが聞くことができない会見やインタの様子まで羽生選手の声がそのまま聞こえてきそうな書き起こしでびっしり。どちらも保存版としてファンにとっては満足できる内容でした。情報たっぷりでありながら、過剰な追いかけ取材や憶測による記事がないのも良い点だと思います。両誌とも平昌五輪までぜひこの路線でお願いしたいところです。

そのなかで、マガジン巻頭ポスターのスワン羽生さん。

目にした瞬間、過去のあの写真と重なりました。
神戸チャリティ演技会での一場面、ホワイトレジェンド衣装でリンクイン直前に上空を見上げる姿。「蒼い炎」などにも掲載されていた能登さん撮影、宮本先生が後ろに写っておられるあの写真です。

6年前のあのとき霞みの向こうに見えた景色。今はもうはっきり見えているかな。

ふとそんなことを思いました。
蒼森 | 2017.03.05 21:57 | 編集
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